しまねの職人

【白磁工房】日常に馴染む美しい器づくり

~美しく整った形の器は土練りから始まる~

Vol.35

白磁工房 石飛勲さん

島根県雲南市にある白磁工房。
初代 石飛勝久氏が、京都で河井寛次郎氏のお弟子さんでもある上田恒次氏に師事し、昭和59年に島根県雲南市に開窯したのが始まりです。

白磁工房はへらなどで土を削って稜線文様を作る鎬手(しのぎで)や、面取りという技法を得意としており、現在は2代目である石飛勲氏が主に製作をされています。
石飛勲氏にお話を伺いました。

「白磁」と「白磁工房」について

白磁とはどういったものでしょうか?
焼き物には陶器と磁器と2つあります。
陶器というのは山にある粘土で、磁器というのは石から作った焼き物になります。
白磁は石で作ってますので硬くて丈夫です。
日ごろの食卓の食器として使ってもらえるととてもいいと思います。
白磁工房を引き継いだきっかけ
私は2代目でして父、石飛勝久が1代目です。
父は京都で修業をしていました。上田恒次先生という河井寛次郎のお弟子さんでもあった方が先生でした。
私は子供の頃からずっと父が仕事をする姿を見ていましたので、高校を卒業してすぐ父の下で白磁の仕事を始めました。
高校を卒業してから最初は全然考えずに手伝い程度の思いでやっていました。
それから30年手伝いを続け、現在に至ります。

白磁の製作について

白磁を作る時に気をつけていることはなんでしょうか?
普段皆さんに使っていただく器を作ってますので、使いやすい器・持ちやすい器・洗いやすい器・食器棚に入りやすい器、そういったものを常に考えながら作っています。
面白い形ではなくてきちんとした形を作り続けるのは難しいですね。
製作の工程で重要な部分について教えてください
最初の土を練る工程、そこから(完成具合が)決まってきます。
土をきちんと練らないと焼いた時に歪んでしまうこともあります。
練られていない土で作ると、土の粒子がきちっとまっすぐ並んでいないため、やっぱり焼いた時に曲がってしまいます。
轆轤(ろくろ)を挽く時も土をちゃんと練っていないと綺麗にまっすぐ挽けないし、土練り3年、轆轤10年とか言われますが、土練りは一番大事ですね。
面取り・鎬手(しのぎで)という技法がありますが、削ることによって器が薄くなるので軽くなり、使いやすくなるという面もあります。
もちろんデザインとしてもきれいです。
作っていて面白い作品はなんでしょうか?
一番作っていて面白いのは土瓶・急須ですね。
口があって、蓋があって、取っ手があって、作るのも面白いですし、もちろん使いやすくないといけないし。
一番難しいのは土瓶であって、一番作って楽しいのも土瓶ですね。
土瓶は普段なかなか使われないと思うのですが、最近はペットボトルのお茶を土瓶に移しかえて来客時に振る舞う方が増えています。
料理屋さんでも使われていますし、普段家で使われる方も結構いらっしゃいます。

これからの白磁工房

今後について
仕事は充実しており、不安はないのですが、今後焼き物がどうなっていくのか、色々なものが高騰してもいますし、そこに心配な部分がないわけではありません。

私が常に思っていることなのですが、47都道府県で一人ずつファンが欲しいんですよ。
47人のファンの方が・・・、全国各地に僕の器を使ってくださる方がいてくれればいいなと思っています。

白磁工房について

日常の中で使いやすい器を一つ一つ丁寧に製作していらっしゃる白磁工房さん。
力強さを感じるような形でありながらも、白や群青色の柔らかな色合いと鎬手や面取りの技術からなるデザインは美しく、使い続けるほどに愛着が増し、日常を彩ってくれそうです。

工房も石飛さんが作る白磁のように無駄がなく美しく整っていて、石飛さんの白磁への考えが具現化したような場所に感じられました。

窯元の2Fにギャラリーもあり、作品を見たり購入をすることもできます。
日常にそっと馴染む美しい器を一度手に取ってみてください。

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