しまねの職人

【大しめなわ創作館】日本一の大しめ縄の里

~全てが手作業、神は細部に宿る~

Vol.42

大しめなわ創作館 菅 武志さん

藤原 健次さん

島根県飯南町は、広島県との県境にある町。
森林が多く、また中国山地の多雪地帯でもあります。
古くから冬の農家の仕事として藁細工が盛んに行われており、昔から受け継がれてきた技術は現在のしめ縄作りにも活かされています。

飯南町では古くから出雲大社のしめ縄が制作されています。
出雲大社神楽殿で見ることができる大しめ縄も飯南町の大しめなわ創作館さんで制作されました。
しめ縄が作られている理由やしめ縄作りに対する思いについて大しめなわ創作館理事長の菅武志さんと、しめ縄職人の藤原健次さんにお話を伺いました。

しめ縄について

なぜ飯南町でしめ縄作りが行われているのでしょうか?
飯南町は標高500mに位置しており冬の時期には雪が多く降るため、古くから農家の冬仕事としてわら細工が盛んに行われていました。
昼夜の寒暖の差が大きい場所は美味しいお米が育つのですが、実は稲のわらも同じなんです。
寒暖差によってしなやかで強い稲わらが育つことで良いしめ縄作りを行うことができます。
現在ではしめ縄専用のわらの栽培に取り組んでおり、米が実る前に刈取りを行いしめ縄作りの材料にしています。
出雲大社の大しめ縄作りが始まったきっかけはなんでしょうか?
元々飯南町はしめ縄作りが盛んな地域でした。
昭和30年代に出雲大社頓原(とんばら)分院が開かれた際に、頓原地区の人々が中心となって出雲大社のしめ縄の制作をし、奉納がされました。当時のしめ縄はまだ今のような大きさではなかったんです。
昭和56年に出雲大社の神楽殿ができたことで、より大きなしめ縄を作ることになりました。
それを出雲大社勧農講社と頓原老人クラブが主力となり、大しめ縄の制作・奉納を行なったのです。
その後、「飯南町しめ縄クラブ」「飯南町注連縄(しめなわ)企業組合」と引き継がれ、「日本一の大しめ縄の里」を全国に発信しているんですよ。
しめ縄はどんな所から依頼がありますか?
しめ縄の依頼先は、ほとんどが神社や神社関係です。
たまに大型商業施設や企業からも依頼をいただくことがあります。
海外からも若干ではありますが、依頼をいただき、しめ縄を作ったことがありますね。

しめ縄職人として

しめ縄職人になったきっかけを教えてください
幼いころから物作りが好きでした。
広島県から飯南町に帰ったときに、ちょうどしめ縄に携わる人から「ちょっと手伝ってみないか」と声をかけられて。
やってみたら、これおもしろいなと思い、それからしめ縄作りに関わるようになりました。
職人としてのやり甲斐はどのようなものでしょうか?
完成するまで大分苦労もありますが、しめ縄を設置した時に「きれい」だとか、「立派なものをつけてもらって」と、喜んでもらった時が一番うれしいです。
喜んでいただくために良いしめ縄を作らないといけないなという気持ちになりますね。
職人としてこれからどのようにありたいと思われますか?
まだまだ未熟だなと感じています。
良いしめ縄を作りたいという気持ちでいっぱいですが、なかなか難しいです。
とても奥が深い世界です。
良いしめ縄が作れる職人を目指して頑張りたいと思います。

大しめなわ創作館について

大しめなわ創作館では、しめ縄の製作がすべて手作業で行われています。
しめ縄専用の田んぼで稲わらを育てるところから始まり、さまざまな工程を職人が担当し製作しています。職人たちは手慣れた手つきで作業を進め、測りなどを使わずに目視で正確に進めていきます。

縄を編む際の網目はとても細かく、職人の技術の高さがうかがえます。
工程を経て一つのしめ縄が完成していく姿は本当に見事です。

館内には店舗もあり、職人が手作りしたしめ縄を購入することができます。家で飾れるしめ縄から小さな雑貨まで、色々な商品が揃っています。

さらに、職人自らが教えてくれるしめ縄体験も開催されています。実際に職人と話しながら、しめ縄作りを体験することができるので、ぜひ訪れてみてください。

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