海士町の伝統銘菓「白浪(しらなみ)」は、和菓子屋「常盤堂製菓舗」店主の山中さんのお父様が昭和初期に命名し、以来70年以上にわたり愛されてきました。
きめ細やかな生地で自家製こしあんを包んだその味わいは、シンプルながらも奥深く、多くの人々に親しまれています。
現在、その味は隠岐桜風舎で働く伊藤さんや、作り手の濱家さんたちによって受け継がれています。
伊藤さんは、10年前に海士町へ移住し山中さん夫婦から製法を学び、手作りの温かみと地域に根付くお菓子の価値を大切に守り続けています。
さらに伊藤さんは、製造に加えておみやげ屋「つなかけ」の運営にも携わり、白浪の魅力をより多くの人々に伝える活動を展開。パッケージの刷新や新しい世代に向けた取り組みを通じて、地元のお菓子を未来へ繋ぐ挑戦を続けています。
このお菓子に込められた想いやその背景について、伊藤さんにお話を伺いました。
現在、その味は隠岐桜風舎で働く伊藤さんや、作り手の濱家さんたちによって受け継がれています。
伊藤さんは、10年前に海士町へ移住し山中さん夫婦から製法を学び、手作りの温かみと地域に根付くお菓子の価値を大切に守り続けています。
さらに伊藤さんは、製造に加えておみやげ屋「つなかけ」の運営にも携わり、白浪の魅力をより多くの人々に伝える活動を展開。パッケージの刷新や新しい世代に向けた取り組みを通じて、地元のお菓子を未来へ繋ぐ挑戦を続けています。
このお菓子に込められた想いやその背景について、伊藤さんにお話を伺いました。
海士町の伝統銘菓「白浪(しらなみ)」について
隠岐桜風舎 伊藤さん
- 「白浪(しらなみ)」とはどんなお菓子ですか?
-
海士町の銘菓と言われているお菓子です。
海士町には何店舗か和菓子屋さんがあり、昔からこのお菓子は作られてきました。
私たちの師匠である常盤堂製菓舗の山中さんのお父さんが白浪という名前を付けられました。
創業70年以上続く常盤堂製菓舗で愛されてきたお菓子です。
やわらかい落雁という表現をいつもしているのですが、すごくきめ細やかな生地をまとっており、中には自家製のこしあんが入っています。
できたては簡単に曲がるくらいのやわらかさなのですが、打菓子ですので乾燥させてから包装し、日持ちも長いお菓子です。
- 伊藤さんが白浪を作り始めたきっかけは何ですか?
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私が海士町に移住して今10年目です。
10年前来島して間もない時に山中さんと知り合い、白浪をつくっている工房をお邪魔させて頂きました。
ご夫婦で声の掛け合いがなくてもスムーズに、阿吽の呼吸で作られている様子を拝見して素敵なご夫婦だなと感じたのと同時に、長く愛されてきた地元のお菓子がこうやって一つ一つ手作りで作られている様子を見てすごく感動しました。
その5年後、山中さんから高齢になったのでお店を閉めるという話を聞いたんですね。
その時に地元のお菓子がなくなってしまうっていうのが何より寂しいことだなと思って。
山中さんご夫婦の雰囲気もふんわりしていて、白浪もふんわりしてるし、常盤堂製菓舗は落ち着ける空間でした。
私は移住者なんですけど、どこか懐かしいこのお店をただただ失くしたくなくて、その気持ちだけで「作り方を教えてください」って手を挙げました。
- 和菓子作りの修行はどうでしたか?
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常盤堂製菓舗では白浪だけでなく、キンニャモニャまんじゅうという和菓子やときわベーカリーというパン事業も営まれていたので、「あんぱん」「食パン」「学校給食パン」の作り方も習いました。
もともと海士町に来る前に京都の芸大でジュエリーコースを専攻し、彫金のものづくりをしていたんです。
手で作られるものに興味がありましたし、作るときはすごく集中する作業なので、彫金のものづくりとの共通点もあり私にはとても合ってました。
あとは修行の日々で見る、山中さんご夫婦と島の人たちとの関係性にますます魅かれました。
私も実の孫のようにかわいがっていただきました。
そんな日々を過ごすうちに、ここで作られる和菓子が海士町にとってのジュエリーのようだな、と感じるようになってきました。
- 事業継承後、新たに取り組んだことがあれば教えてください
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白浪の持つ雰囲気、空気感が以前のパッケージだとちょっと伝わりきってないのかな、と思っていたのでパッケージをリニューアルしました。
外装の雰囲気と1枚めくった箱に書いてあるパッケージの雰囲気、さらに白浪が出てきたときの雰囲気とそれぞれ好きなので、その雰囲気も引き継ぎつつ、白浪のイメージに合った新しいパッケージづくりに取り組みました。
白浪は70年以上続くお菓子なんですが、これまで召し上がっていただいていた年代とまだ知らない年代層が離れてしまっている印象があって、なかなか手にとってもらえない状況が続いたこともありました。
私たちが事業継承したことで新しいお客様や、海士町にいる若い人たちにもっと知ってもらうためにも新しいパッケージに変えました。
- 伊藤さんの白浪への想い
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最初は私自身が作り手でしたが、現在は営業側になり、考え方が変わってきたなとは思います。
白浪はおじいちゃんおばあちゃん世代にとって、懐かしく感じるほど昔から親しまれてきたお菓子っていうことを今の若い人とか小学生の子たちとかに知ってほしいです。
やっぱり地元の人たちが好きなお菓子は観光客にとっても魅力のあるお菓子だと思います。
何度か白浪製造体験を小学生向けに行ったことがあるんです。
食べたことがなかったけど自分で作ったり食べてみたりして白浪をすごく好きになった子どもたちがとても多くて。
「おじいちゃんおばあちゃんにお土産に持って帰る」とか、「お父さんお母さんに教えるんだ」という声を聴いた時、白浪を受け継いでよかったなって思ったんですよね。
やっぱり海士町に住む人たちに一番届けたいお菓子です。
白浪職人 濱家さん
- 山中さんからどのように教えを受けましたか?
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私がここに来て今2年半ぐらい経ちます。
以前に専門学校でパンや洋菓子、和菓子の作り方についての最低限の基礎は学んでいたんです。
山中さんが引退まであと4、5ヶ月ぐらいしかないという状況でそんな私が来て、あんこの炊き方など最低限の作り方っていうものを初めの1、2ヶ月の間、横についてもらって徹底的に教えてもらいました。
3ヶ月目くらいになってからようやく白浪づくりに触れさせてもらうようになりました。
それから2、3ヶ月ぐらい苦労しながらも、山中さんの想いをできる限り感じ取れるように努力しながら学んだ結果、現在の白浪製造に至っています。
- 白浪作りの奥深さは?
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白浪の素材はとてもシンプルで上白糖ともち米が主原料の寒梅粉を使っています。それと水を合わせた生地であんこを包んで作る、とてもシンプルな和菓子です。
材料がとてもシンプルな分、私が作る白浪、先代の山中さんが作る白浪、伊藤さんが作る白浪にはそれぞれの個性が出てしまいますが
お店の商品ですので、その個性はできるだけなくしていくようにしています。
私の個性が多く出ているところもあるかもしれないですが、商品としての安定性をどうするかというのが一番難しく、奥深いなと思っています。
でも、安定性ばかりじゃなくて私の中で一番心に残った山中さんの教えを白浪に残しつつ、自分の大事にしていきたいことをまた次の人たちに伝えて、それがまた白浪に残っていく。
そうやって長く続いていって白浪が残っていくのが良いなと思っています。
隠岐桜風舎について
海士町の伝統銘菓「白浪」は和菓子だけでなく、作り手ごと地元の人々に愛され、作り手もまたそれに応えるようにひとつひとつ丁寧に作り続け、現在まで続いてきました
移住者という立場でありながら、「白浪」に込められた長い歴史や山中さんご夫婦の想いを深く受け止め、その魅力を次世代に繋ぐ役割を担う伊藤さん。
「シンプルだからこそ難しい」と白浪作りの奥深さを語る浜屋さん。
ひとつひとつ丁寧に仕上げられるこの銘菓には、作り手の想いが詰まっています。
「白浪」を食べるたびに、その柔らかな甘さの中に海士町の風景や人々の想いが感じられるかもしれません。
この銘菓が未来へと受け継がれ、新たな世代や場所で愛されていって欲しいと切に願っています。
ぜひ、隠岐桜風舎の「白浪」を味わい、その魅力を体感してみてください。
移住者という立場でありながら、「白浪」に込められた長い歴史や山中さんご夫婦の想いを深く受け止め、その魅力を次世代に繋ぐ役割を担う伊藤さん。
「シンプルだからこそ難しい」と白浪作りの奥深さを語る浜屋さん。
ひとつひとつ丁寧に仕上げられるこの銘菓には、作り手の想いが詰まっています。
「白浪」を食べるたびに、その柔らかな甘さの中に海士町の風景や人々の想いが感じられるかもしれません。
この銘菓が未来へと受け継がれ、新たな世代や場所で愛されていって欲しいと切に願っています。
ぜひ、隠岐桜風舎の「白浪」を味わい、その魅力を体感してみてください。
プロフィール
- 隠岐桜風舎(おみやげ「つなかけ」)
- 〒684-0403
- 島根県隠岐郡海士町海士1521−1
- 【TEL】08514-2-2311
- 【営業時間】9:00-17:00
- 【定休日】毎週水曜 ただし年末年始休暇・天候不良による臨時休業日あり
- 【HP】https://okiofusha.co.jp
- 【Instagram】https://www.instagram.com/tsunakake_teshigoto/