島根県のほぼ中央、日本海に面した大田市温泉津(ゆのつ)は
1300年前に開かれた温泉のある、しっとりとした風情が漂う町。
宝永年間より伝わる「温泉津焼」の産地としても有名で
いくつもの窯が階段状に連なる巨大な登り窯が目を引く。
1971年(昭和46年)、この地に開窯したのが森山窯。
民藝運動を牽引した陶芸家・河井寛次郎から
作陶の技術と心がまえを学んだ当主の手による器は
釉薬の深い色合いが実に印象的です。
長く愛用したくなるような温かみと味わいをもつ器が
全国の愛好家に親しまれているというのも頷けます。
森山窯の当主・森山さんにお話を伺いました。
森山窯の歴史、器について
- 陶芸家の河井寛次郎からどんなことを学ばれましたか?
-
1957年から6年あまりの間、故河井寛次郎先生の工房に住み込んで、内弟子としてご指導いただきました。
先生が厳しく教えられたのは、「陶工となる前に先ず立派な人間になれ、焼き物は繰り返しのみでなく創造の意欲を忘れてはならない」という作陶の心がまえです。
また「ものをよく見ること」も先生から学んだことの一つでした。
1963年から5年間は倉敷堤窯の故武内晴二郎先生について教えを受けた後、1971年にここ温泉津の地に森山窯を開きました。
- 多くの器を作られてきましたが、陶芸の魅力は何でしょうか?
-
器を作っているときがなによりも楽しいですね。
お客様が喜んで使ってくれるような器を作ること、そこに陶芸の魅力があると思います。
- どんなことを考えながら器を作られていますか?
-
見た目よりも手に取ったときに軽いこと、持ちやすいハンドルの形状などに心を配りながら作っています。
例えばコーヒーカップのハンドルは、上を薄く、下を厚くすると持ちやすくなるんですよ。
また器の色がとりわけ大切なので、綺麗に仕上がるように窯焚きや釉薬などに細心の注意を払いながら製作しています。
- お客様からどのような声があがっていますか?
-
「長年使っていた急須が壊れたので、同じ急須を作ってほしい」というような注文が入ることがあるんです。
自分が心を込めて作った器を長く大切に使ってもらっていることを実感できますから、このようなお客様の声はなによりも嬉しいですね。
ものづくりに対する想い
- 技術の継承や後継者の育成について、どうお考えですか?
-
岡山県倉敷市の出身でアパレル業界で働いていた三宅君が、焼き物の魅力に惹かれたということで転職し、2018年から陶芸家の卵として私の工房で修行しています。
まったくの素人だったんですが、基本から私が教えまして、今は型押しやろくろ、コーヒーカップのハンドル付けなどをやってくれています。
一生懸命に学んでいる三宅君には、今後はさらに登り窯を使った焼き物に私と一緒に挑戦してもらったり、釉薬についての技術と知識も教えていきたいと考えています。
三宅君が工房を受け継いでくれたらありがたいことだと、それを今一番望んでいるんです。
三宅君の前にも何人か、若い人が焼き物をやりたいと言ってきてくれましたが、向き不向きがあって、できない人もいるというのが実際のところです。
三宅君はできる人で、ものを見る目もしっかりしているので、私も「彼なら絶対に大丈夫」という自信があるわけです。
最終的には本人の考え次第ですが、三宅君さえよければ後を継いでもらいたいと願っています。
- 森山さんにとってものづくりで一番大切なことは何ですか?
-
見た目が美しく、かつ長く愛用してもらえるようなものづくりを大切にしてきました。
たとえ日常使いの器として使ってもらえなかったとしても、そばに置いて見ているだけでほっと癒されるような、そんなものづくりを今後も続けていきたいですね。
- ものづくりに対する心がまえを教えてください
-
自分が培ってきた技術や育んできた考え方を土に込めて、削ったり模様を付けたり、釉薬を作ったり、窯詰めや窯焚きなど、工程の一つひとつに心を込めて一丁懸命にやることを常に心がけています。
- 森山窯の作品はどこで購入できますか?
-
地元大田市の和田珍味やルールブルー石見銀山といったお店や、松江の物産観光館の他、東京、鎌倉、仙台、盛岡、大阪、京都、広島などの民芸品店で手に取っていただけます。
また、オンラインショップでも数多く取り扱っていただいていますよ。
催事のお誘いや展示会の依頼などもいただくことがあります。
森山窯について
ご夫婦で工房を切り盛りされている森山窯。
穏やかな森山さんと明るく朗らかな奥様、仲睦まじいお二人が笑顔で迎えてくれました。
奥様のお話では、森山さんは8時頃から19時頃まで、休憩をはさみながら作業されるそうです。
現在82歳ですが、とってもお元気な森山さん。
若い三宅さんの存在が刺激になっているようで、これまで以上に「頑張ろう!」と張り切っているそうです。
三宅さんも「修行はもっと厳しいのかと思っていたけれど、そんなこともなくて……」と。
工房はとても働きやすそうな、良い雰囲気に満ちていました。
そんな森山窯の当主・森山さんが得意としているのは、「イッチン」という装飾技法で器に模様を描くこと。
これは森山さんの師である河井寛次郎も得意としていた技法です。
焼きしめられた器に浮かび上がるやわらかな模様は、なんとも言えず優しい味わいがあります。
森山さんが生み出した釉薬の独特の色合いも非常に魅力的です。
主な釉薬は落ち着いた青の「呉須釉」、鮮やかな藍色の「瑠璃釉」、深い緑の「並釉」の3色で、それぞれに表情豊かで引き込まれるような美しさがあります。
新しい釉薬に意欲的に取り組んだ河井寛次郎の教えが、ここにも生きているんですね。
さらに、一つひとつの器に民藝らしいしっかりとした安定感とあたたかみがあることも特徴のひとつ。
食卓を彩ってくれる器、日常の暮らしに馴染む器、それが森山窯の器なのです。
穏やかな森山さんと明るく朗らかな奥様、仲睦まじいお二人が笑顔で迎えてくれました。
奥様のお話では、森山さんは8時頃から19時頃まで、休憩をはさみながら作業されるそうです。
現在82歳ですが、とってもお元気な森山さん。
若い三宅さんの存在が刺激になっているようで、これまで以上に「頑張ろう!」と張り切っているそうです。
三宅さんも「修行はもっと厳しいのかと思っていたけれど、そんなこともなくて……」と。
工房はとても働きやすそうな、良い雰囲気に満ちていました。
そんな森山窯の当主・森山さんが得意としているのは、「イッチン」という装飾技法で器に模様を描くこと。
これは森山さんの師である河井寛次郎も得意としていた技法です。
焼きしめられた器に浮かび上がるやわらかな模様は、なんとも言えず優しい味わいがあります。
森山さんが生み出した釉薬の独特の色合いも非常に魅力的です。
主な釉薬は落ち着いた青の「呉須釉」、鮮やかな藍色の「瑠璃釉」、深い緑の「並釉」の3色で、それぞれに表情豊かで引き込まれるような美しさがあります。
新しい釉薬に意欲的に取り組んだ河井寛次郎の教えが、ここにも生きているんですね。
さらに、一つひとつの器に民藝らしいしっかりとした安定感とあたたかみがあることも特徴のひとつ。
食卓を彩ってくれる器、日常の暮らしに馴染む器、それが森山窯の器なのです。
商品ラインナップ
イベント情報
- 温泉津やきもの祭り/毎年春秋開催
プロフィール
- 森山窯
- 〒699-2501
- 島根県大田市温泉津町温泉津イ3−2
- 【TEL】0855-65-2420
- 【FAX】0855-65-2420